ペットホテルのケージの広さ2026|法令上の下限は体長の何倍か、見学で確かめる7つの質問
このページでわかること
- 犬猫のケージの大きさには省令による数値基準があり、体長・体高の倍率で決まること
- その基準が、ペットホテルの短期預かりでは例外になり得ると環境省の指針に書かれていること
- 逆に、数週間以上の長期預かりは例外とみなされないこと
- あなたの犬種・猫種だと具体的に何cm必要になるかの計算例
- 当サイト掲載1,507施設のうち、個室の記載は19.9%、ケージフリーは6.2%にとどまること
- 見学・電話で広さを確かめるための7つの質問

「ペットホテル ケージ」で検索して出てくる記事は、ほぼ例外なく同じことを書いています。広いケージの施設を選びましょう、と。
ただ、そこには肝心のものが抜けています。広いとは、何cmからのことなのか。その基準がどこにも書かれていません。
日本には、犬猫のケージの大きさを数値で定めた省令が実際に存在します。このページは「広い施設を選ぼう」で終わらせず、法令上の下限がどこにあり、目の前の施設がそれを上回っているかをどう確かめるかという順番で整理します。
ペットホテルのケージに、法律上の大きさの基準はありますか?
あります。動物の愛護及び管理に関する法律第21条第1項に基づく基準省令で、犬猫のケージ等の大きさが体長・体高の倍率として数値化されています。
根拠となる法令は「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」(令和3年環境省令第7号)で、令和3年(2021年)6月1日施行です。環境省はこの省令の運用について、令和3年5月25日付の通知(環自総発第2105251号)で「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針〜守るべき基準のポイント〜」を示しています。以下の数値と引用は、すべてこの指針から取っています(出典URLと確認日は記事末尾)。
「ケージ等」とは何を指しますか?
指針は「ケージ等」を、動物の飼養又は保管のために使用する、おり、かご等の設備と定義しています。そのうえで、こう書いています。
いわゆるケージそのものだけではなく、平飼いの設備や運動スペースの外周を囲う柵等の設備もケージ等に含まれる。また、部屋等で放し飼いをしている場合は、部屋全体がケージ等に当たる。
ここは覚えておく価値があります。ケージを使わない預かり方をしていても、法令の外に出るわけではありません。部屋で放し飼いにしているなら、その部屋全体がケージ等として基準の対象になります。
分離型と一体型の2種類があります
指針は飼養設備を2つのタイプに分けています。
| タイプ | 指針の呼び方 | 中身 |
|---|---|---|
| 分離型 | 運動スペース分離型飼養等(ケージ飼育等) | 寝床・休息場所としてのケージと、運動スペースを別に設けるタイプ |
| 一体型 | 運動スペース一体型飼養等(平飼い等) | 寝床・休息場所と運動スペースを含んだ飼養設備。平飼いなど |
ペットホテルで一般的な「ケージに入れて預かる」形は分離型に当たります。そして指針のチェックポイントには、こう書かれています。
ケージ等は分離型の基準を満たす。(分離型のケージ等の基準は、どんな業形態であっても、基本的に満たす必要がある。)
分離型ケージの数値基準
| 動物 | タテ | ヨコ | 高さ | 追加要件 |
|---|---|---|---|---|
| 犬 | 体長の2倍以上 | 体長の1.5倍以上 | 体高の2倍以上 | ー |
| 猫 | 体長の2倍以上 | 体長の1.5倍以上 | 体高の3倍以上 | 1つ以上の棚を設け2段以上の構造 |
複数を同じケージ等で飼養する場合は、各個体に対する上記の広さの合計面積と、最も体高が高い個体に対する高さを確保することとされています。
なお、面積の算定はケージ等の全体の大きさで行います。指針は「飼養に必要な設備(トイレや餌置き場等)を、面積の算定から除外する趣旨ではない」と明記しています。つまりトイレを置いた分だけケージを大きくしなければならない、というルールにはなっていません。
体長・体高は、どこからどこまでを測りますか?
指針の定義はこうです。
- 体長 = 胸骨端から坐骨端までの長さ(胸の先からお尻の骨の先まで)
- 体高 = 地面からき甲部(肩甲骨の上端部)までの垂直距離(床から肩の一番高いところまで)
体高は「頭のてっぺんまで」ではありません。ここを取り違えると計算が変わります。
その基準は、ペットホテルにも適用されますか?
ここが本記事でいちばん重要な部分です。適用対象ではありますが、環境省の指針は短期の預かりを例外になり得ると書いています。
ペットホテルは第一種動物取扱業「保管」の登録が必要な業態です(登録制度そのものは動物取扱業登録の解説で扱っています)。したがって基準省令の適用対象になります。
ただし、指針にはケージの大きさに関するチェックポイントの直後に、次の但し書きが付いています。
※傷病個体や一時的な保管等の特別な事情がある場合として客観的に判断ができる場合は、上記3項目が適用されない場合がある。
そして解説部分に、ペットホテルという語がはっきり出てきます。
一時的かどうかについては、保管する期間とそこに置かれた個体に対するケージ等の広さ、個体の状態等に基づき総合的な判断が必要であるが、例えば、保管業のうち、トリミングのための数時間の預かりやペットホテルでの数日間の預かりは一時的なものと考えられる。一方、長期旅行のために数週間〜数ヶ月に渡ってペットホテルで預かるような場合などは一時的な保管とは考えられない。
読み方を整理します。
| 預ける期間 | 指針の位置づけ | 飼い主にとっての意味 |
|---|---|---|
| 数時間〜数日 | 「一時的なものと考えられる」 | ケージサイズ基準が例外扱いになり得る |
| 数週間〜数ヶ月 | 「一時的な保管とは考えられない」 | 例外にならず、サイズ基準が正面から効く |
つまり、1泊2泊の短期預かりについて「法令で広さが保証されているから安心」とは言い切れません。これは競合記事がまず書かない、業者にとって都合の悪い話ですが、事実として指針にそう書かれています。
一方で、逆の含意もあります。長期で預けるほど、法令上の要求は強くなります。帰省や入院、長期出張で1週間、2週間と預けるなら、この例外の傘は外れていく方向です。長期の預け方は長期預かりの注意点も参照してください。
「うちは狭くても大丈夫」は通用しますか?
指針は例外の乱用を明確に牽制しています。
いずれの場合においても、客観的に特別な事情が判断可能であり、適切な管理下にあるものに限られる。このため、例えば「広いケージに入れたら病気や感染症になってしまうかもしれない。」といった漠然とした理由を「特別な事情」とみなすことはできない(感染症等が発生しないように適切な衛生管理を行うことは事業者の義務である)。
例外はあくまで、傷病個体で安静が必要な場合など客観的に判断できる事情に限られます。「うちのやり方だから」は理由になりません。
運動スペースと「1日3時間」はどうなりますか?
分離型で飼養する場合、別途に運動スペースを設けて1日3時間以上出す義務が定められています。ただし指針は、その対象を限定しています。
長期間飼養する場合(長期間の飼養を行うことが前提となる販売業、譲渡業、貸出業、展示業、譲受飼養業)は、以下の○のいずれかに該当している。(顧客の動物を預かる保管業や訓練業の場合は、短期間の一般的な業内容であれば、運動スペースの設置は必須ではない。)
さらに解説では「ペットホテルにおける数日の預かりやペットサロンにおけるトリミングのための短時間の保管等」は長期間に該当せず、運動スペースの確保や3時間以上の運動については必須ではないと明記しています。
飼い主として押さえておくべき結論はこれです。ペットホテルの短期預かりでは、「1日に何時間ケージから出すか」に法令上の下限がありません。だから施設ごとにばらつきますし、聞かなければ分かりません。この質問を後半の確認リストに入れているのは、そのためです。

自分の犬・猫だと、具体的に何cm必要になりますか?
体長と体高を測れば計算できます。犬はタテ体長×2、ヨコ体長×1.5、高さ体高×2。猫は高さのみ体高×3です。
指針には体長・体高ごとの早見表と、代表的な品種の平均体長・体高が掲載されています。そこから分離型ケージの必要寸法を計算すると、次のようになります。以下の体長・体高は指針掲載の平均値であり、個体差があります。必ず自分の犬猫を実測してください。
犬の計算例(分離型ケージの下限)
| 犬種 | 体長 | 体高 | 必要なタテ | 必要なヨコ | 必要な高さ | 床面積 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| チワワ | 17cm | 17cm | 34cm | 25.5cm | 34cm | 約0.09m² |
| ミニチュア・ダックスフンド | 25cm | 14cm | 50cm | 37.5cm | 28cm | 約0.19m² |
| トイ・プードル | 27cm | 26cm | 54cm | 40.5cm | 52cm | 約0.22m² |
| シー・ズー | 28cm | 26cm | 56cm | 42cm | 52cm | 約0.24m² |
| フレンチ・ブルドッグ | 31cm | 30cm | 62cm | 46.5cm | 60cm | 約0.29m² |
| ミニチュア・シュナウザー | 33cm | 33cm | 66cm | 49.5cm | 66cm | 約0.33m² |
| 柴 | 42cm | 38cm | 84cm | 63cm | 76cm | 約0.53m² |
| ボーダー・コリー | 54cm | 52cm | 108cm | 81cm | 104cm | 約0.87m² |
| ラブラドール・レトリーバー | 60cm | 57cm | 120cm | 90cm | 114cm | 約1.08m² |
| ゴールデン・レトリーバー | 62cm | 57cm | 124cm | 93cm | 114cm | 約1.15m² |
| バーニーズ・マウンテン・ドッグ | 71cm | 64cm | 142cm | 106.5cm | 128cm | 約1.51m² |
| 秋田 | 72cm | 65cm | 144cm | 108cm | 130cm | 約1.56m² |
| セント・バーナード | 83cm | 74cm | 166cm | 124.5cm | 148cm | 約2.07m² |
| グレート・デーン | 83cm | 79cm | 166cm | 124.5cm | 158cm | 約2.07m² |
体長・体高は指針の図表7(国際畜犬連盟およびアメリカ・ケンネルクラブの情報をもとに環境省が算出した平均値)から引用し、必要寸法と床面積は当サイトが基準の倍率をあてはめて計算したものです。
パグのように指針の表で体長のデータが「ー」となっている犬種もあります。その場合は体高の欄だけが使えます(パグの体高は29cm、つまり高さは58cm以上)。
猫の計算例(分離型ケージの下限)
猫は高さの倍率が犬より厳しく、体高の3倍以上です。加えて1つ以上の棚を設けて2段以上の構造にすることが求められます。
| 猫種 | 体長 | 体高 | 必要なタテ | 必要なヨコ | 必要な高さ |
|---|---|---|---|---|---|
| マンチカン | 27〜34cm | 17〜22cm | 54〜68cm | 40.5〜51cm | 51〜66cm |
| アメリカン・ショートヘア | 27〜36cm | 18〜27cm | 54〜72cm | 40.5〜54cm | 54〜81cm |
| ロシアン・ブルー | 27〜34cm | 19〜24cm | 54〜68cm | 40.5〜51cm | 57〜72cm |
| スコティッシュ・フォールド | 33〜43cm | 21〜26cm | 66〜86cm | 49.5〜64.5cm | 63〜78cm |
| ペルシャ | 34〜39cm | 20〜27cm | 68〜78cm | 51〜58.5cm | 60〜81cm |
| メイン・クーン | 48〜81cm | 27〜30cm | 96〜162cm | 72〜121.5cm | 81〜90cm |
日本猫(雑種を含む)は指針の表で体高25〜30cmとされており、必要な高さは75〜90cm以上という計算になります。猫用のケージで高さ90cmは、単段のケージでは足りません。猫の預け方は猫のペットホテル利用ガイドも参照してください。
指針は棚についても補足しています。キャットタワーのような設備、あるいは箱や台で内部と上面が使えるものも棚とみなせる一方、個体が乗れないほど小さいものや、体重に耐えられないものは棚として認められないとしています。段ボールも、すぐ破損する構造なら基準を満たしません。
なぜ大型犬ほど、預けられる施設が減るのですか?
必要な床面積が体長の2乗で効いてくるためです。チワワとグレート・デーンでは、1頭分の床面積が約24倍違います。
上の表の床面積を並べ直すと、この差がはっきりします。
| 比較 | 床面積 | チワワとの倍率 |
|---|---|---|
| チワワ(体長17cm) | 約0.09m² | 1倍 |
| 柴(体長42cm) | 約0.53m² | 約6倍 |
| ラブラドール(体長60cm) | 約1.08m² | 約12倍 |
| グレート・デーン(体長83cm) | 約2.07m² | 約24倍 |
高さも同様です。チワワなら34cmで足りるところ、グレート・デーンは158cm。人の胸の高さを超えるケージが必要になります。既存の建物にそれを何台も入れるのは、設備投資としても物理的にも簡単ではありません。
当サイト掲載1,507施設の公開情報を集計すると、大型犬の受け入れを明記しているのは20.6%、超大型犬まで明記しているのは3%でした(計測日: 2026年9月25日)。体格が上がるほど受け入れ先が急に細くなる構造が、この数字に出ています。
断定はできませんが、必要な床面積と高さが体格に応じて跳ね上がるという計算は、この偏りと整合的です。大型犬の預け先探しは大型犬対応ペットホテルの選び方にまとめています。
施設のケージの広さは、予約前に調べられますか?
ほとんどの施設については調べられません。公開情報で部屋・設備の形式を明記している施設は少数派です。
当サイト掲載1,507施設のうち、公開情報に記載があった件数は次のとおりです(計測日: 2026年9月25日)。
| 項目 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 個室あり | 316件 | 19.9% |
| ケージフリー | 98件 | 6.2% |
| 冷暖房完備の明記 | 168件 | 10.6% |
| 犬猫を別室で管理 | 24件 | 1.5% |
この集計は「公開情報に記載があるか」を機械的に判定したものであり、当サイトが施設を訪問して設備を調査した結果ではありません。記載がない施設が個室を持っていないという意味ではなく、書いていないだけの施設も多いはずです。
それでも、飼い主の側から見た結論は変わりません。8割前後の施設については、どんな設備で預かられるのかが公開情報からは判別できません。ましてケージの実寸を公式サイトに載せている施設は、さらに限られます。
つまり、ケージのサイズを事前に確認できる施設は少数派です。だから確認は電話か見学でやるしかない、という話になります。個室とケージフリーの出現率の差は個室とケージフリーの集計レポートで、業界全体の情報開示の薄さは予約条件の明記率の集計で扱っています。
ケージフリーなら、基準の対象外になりますか?
なりません。指針は「部屋等で放し飼いをしている場合は、部屋全体がケージ等に当たる」と定義しています。
ケージを使わない預かり方は、法令の外側にあるのではなく、部屋全体がケージ等として評価されるという扱いです。したがって、その部屋の面積と高さが、その子の体長・体高に対して基準を満たしているかが問われます。
指針はもう一点、平飼いについて補足しています。
平飼いをしていたとしても、一体型の基準を満たしていない場合、その平飼いの飼養設備は分離型とみなされ、別途運動スペースを設ける必要がある。
「ケージフリー」という言葉自体が広さを保証するわけではない、ということです。ケージフリーの種類と向き不向きはケージレスペットホテル完全ガイドで扱っています。
ケージとケージフリー、どちらが安全ですか?
一概には言えません。脱走・犬同士のトラブル・誤飲の管理では、ケージのほうが安全に働く場面があります。
この記事は「ケージが悪でケージフリーが善」という単純化を採りません。理由は、リスクの種類が違うからです。
| 状況 | ケージのほうが有利になりやすい理由 | ケージフリーのほうが有利になりやすい理由 |
|---|---|---|
| 脱走 | 物理的に閉じている。扉の管理だけに集中できる | ー(開口部が増える分、管理の手数は増える) |
| 犬同士の接触 | 接触自体が起きない | 相性が良ければ社会的刺激になる |
| 誤飲・食糞 | 個体ごとに管理でき、何を口にしたか特定しやすい | ー |
| 排泄・体調の把握 | 誰の便か特定できるため異常に気づきやすい | ー |
| 傷病・術後の安静 | 安静を保ちやすい。指針も傷病個体を例外として想定 | ー |
| 運動量・退屈 | ー | 自由に動ける |
| 分離不安 | ー | 閉じ込め感が少ない |
実際、指針が例外として想定している代表例は「傷病動物で安静が必要な場合」です。広ければ常に良い、という前提を法令自体が置いていません。
脱走事故の発生パターンと施設側の対策水準はペットホテルの脱走事故の検証にまとめています。

体格・犬種別に、ケージで特に注意することはありますか?
あります。大型犬は選択肢の少なさ、短頭種は通気、シニアと猫は高さと段差が論点になります。
大型犬・超大型犬
前述のとおり、必要な床面積と高さが跳ね上がります。当サイトの集計でも大型犬OKの明記は20.6%、超大型犬OKは3%にとどまります。選択肢が少ないぶん、予約は早く動く必要があります。受け入れ可でも「体重○kgまで」という条件が付く場合があるため、体重と体高を先に伝えてください。
短頭種(フレンチ・ブルドッグ、パグ、ボストン・テリアなど)
体長が短いため、必要な床面積の計算値は小さく出ます。フレンチ・ブルドッグなら約0.29m²です。ただし呼吸の負担は体長では測れません。基準を満たす広さかどうかとは別に、ケージの設置場所の通気、周囲の犬の数、室温を確認してください。冷暖房完備を明記している施設は10.6%です。短頭種特有のリスクは短頭種のペットホテル選びを参照してください。
シニア・関節に不安のある子
猫用ケージは高さ体高の3倍以上かつ2段以上の構造が求められますが、段差はシニア猫にとって転落のリスクにもなります。指針も「生まれたばかりの子猫が棚から落下するおそれがある場合」を特別な事情の例に挙げています。段の高さ、足場の滑りにくさ、下段だけで完結できるかを確認してください。シニアの預け方はシニア犬・持病ペットのホテル選びにまとめています。
猫
高さの基準が犬より厳しく(体高の3倍以上)、棚も必須です。日本猫サイズで高さ90cm前後が計算値になります。単段のケージが並んでいる猫の預かりスペースは、この点だけ見ても確認する価値があります。
見学・電話で、ケージについて聞く7つの質問
ここまでを踏まえると、確認すべきことはかなり具体的になります。以下をメモして、一度に聞いてください。
1. ケージの実寸を教えてください(タテ・ヨコ・高さ)
いちばん直接的な質問です。事前に自分の犬猫の体長・体高を測り、犬なら体長×2・体長×1.5・体高×2、猫なら高さだけ体高×3で計算してから電話すると、その場で判断できます。
2. うちの子が、自然な姿勢で立って向きを変えられますか
指針が基準を設けた目的そのものが、自然な姿勢で立ち上がる、横たわる、方向転換する、身繕いするといった日常的な動作を容易に行えるようにすることです。数字で答えられない相手でも、この聞き方なら答えられます。
3. 床材は何ですか。金網は使っていますか
床材の金網使用は原則禁止です。指針は肉球が傷むおそれを理由に挙げ、すのこを敷く場合やトレーを置く場合など、肉球が金網に触れないよう管理されている場合のみを例外としています。しかも「布がケージの一端に寄り、床材を覆っていない場合」や「部分的にしかトレーが置かれていない場合」は管理されているとはいえない、とまで書いています。
この基準には経過措置がなく、令和3年6月から適用されています。見学時に目で確認できる、いちばん判定しやすい項目です。
4. トイレと寝床・えさ場は離れていますか
正直に書きます。これは義務ではありません。指針は参考欄で「トイレは、えさ場(給餌・給水器)や寝る場所と離して配置することが個体の健康や衛生面等から望ましい」と書いており、望ましいという表現にとどまっています。
義務ではないからこそ、施設の姿勢が出る部分です。答えを聞くというより、見学時に実際の配置を見てください。
5. 同じ部屋に何頭いますか。うちの子と接触しますか
複数を同じケージ等に入れる場合、面積は合計で確保する必要があります。指針は同時に「同一ケージ等内に入れる動物の組み合わせを考慮し、過度な動物間の闘争等が発生することを避けなければならない」としています。多頭で預ける場合は多頭飼いのペットホテル利用ガイドも参照してください。
6. ケージから出る時間は、1日どれくらいありますか
ここに法令上の下限はありません。前述のとおり、短期の保管業には運動スペースの設置義務も1日3時間以上の運動義務も適用されないと指針が明記しています。だからこそ施設ごとに差が出ますし、聞かなければ分かりません。「何回、何分ずつ、どこで」まで聞いてください。
7. 預かり日数が長い場合、設備は変わりますか
数週間以上の預かりは「一時的な保管」とみなされない旨が指針に書かれています。長期で預ける予定なら、短期と同じケージのままなのか、別の設備に移すのかを確認する価値があります。
見学時の確認項目全般はペットホテル見学チェックリスト30項目にまとめています。
スタッフの人数にも、法令上の上限があります
ケージの話に隠れがちですが、職員1人が飼養保管できる頭数にも上限が定められています。
指針によれば、犬猫の飼養施設において飼養又は保管に従事する職員1人当たりの頭数の上限は、犬20頭(うち繁殖犬15頭)、猫30頭(うち繁殖猫25頭)と定められています。犬猫の両方を扱う場合は別表で組み合わせが定められています。
この「1人」は常勤換算で数えます。指針は、常勤の職員が勤務すべき時間数を週40時間として計算し、短時間勤務者は勤務延時間数の合計を40で割って員数に換算する、と定めています。端数は切り捨てです。
この基準には段階的な経過措置が設けられていましたが、第一種動物取扱業者については令和6年(2024年)6月から本則の上限(犬20頭・猫30頭)が本格適用されています。ケージの大きさに関する経過措置も既存事業者について令和4年6月1日から適用されており、2026年現在、いずれも経過期間は終了しています。
見学で「スタッフの人数に対して預かり頭数が明らかに多くないか」を見るのは、感覚的なチェックではなく、この基準に紐づいた確認です。
この記事について、はっきりさせておきたいこと
読む前提として、3点を明記します。
1. 当サイトの割合は、設備調査の結果ではありません。個室19.9%、ケージフリー6.2%といった数字は、掲載1,507施設の公式サイト等の公開情報に該当する記載があるかを機械的に判定した集計です。訪問して設備を測ったものではありません。記載がないことは、その設備がないことを意味しません。
2. 当サイトは、各施設が基準を満たしているかを検証していません。本記事は法令基準の内容と確認方法を説明するものであり、特定の施設が適合しているか否かを判断するものではありません。
3. 法令の解釈・適用は個別の事情で変わります。特に「一時的な保管」に当たるかどうかは、指針自身が「保管する期間とそこに置かれた個体に対するケージ等の広さ、個体の状態等に基づき総合的な判断が必要」としており、最終的な判断は監督する自治体が行います。正確な要件は、環境省および各都道府県・指定都市・中核市の動物愛護管理担当窓口にご確認ください。
また、本記事で確認できた数値基準は犬猫を対象としたものです。うさぎや小鳥、ハムスターなど犬猫以外の動物について、これに相当する寸法の数値基準があるかどうかは、本記事では確認できていません。犬猫以外を預ける場合は施設と自治体に個別に確認してください。
よくある質問
Q. ペットホテルのケージの大きさに、法律の基準はありますか?
A. あります。動物愛護管理法第21条に基づく令和3年環境省令第7号で、犬はタテ体長の2倍以上×ヨコ体長の1.5倍以上×高さ体高の2倍以上、猫は高さのみ体高の3倍以上かつ2段以上の構造と定められています。令和3年6月1日施行です。
Q. その基準は、1泊の預かりにも適用されますか?
A. 環境省の運用指針は「ペットホテルでの数日間の預かりは一時的なものと考えられる」として、特別な事情に当たり得ると書いています。したがって短期預かりについて、法令で広さが保証されているとは言い切れません。一方、数週間〜数ヶ月の預かりは一時的な保管とは考えられないと明記されています。
Q. ケージから1日何時間出してもらえるか、決まりはありますか?
A. ペットホテルの短期預かりについては、法令上の下限がありません。指針は、運動スペースの設置と1日3時間以上の運動の義務について「顧客の動物を預かる保管業や訓練業の場合は、短期間の一般的な業内容であれば、運動スペースの設置は必須ではない」としています。施設に直接確認してください。
Q. ケージフリーの施設は、この基準の対象外ですか?
A. 対象外にはなりません。指針は「部屋等で放し飼いをしている場合は、部屋全体がケージ等に当たる」と定義しています。部屋の広さと高さが、その子の体長・体高に対して基準を満たしているかが問われます。
Q. 床が金網のケージは違反ですか?
A. 原則として禁止されていますが、例外があります。指針は「犬又は猫の四肢の肉球が傷まないように管理されている場合を除く」としており、すのこを用いる場合や金網の上にトレーを置く場合などが該当します。ただし部分的にしか覆われていない場合は管理されているとはいえない、とされています。この基準には経過措置がなく、令和3年6月から適用されています。
Q. 施設が基準を守っているか、どこに相談すればいいですか?
A. 第一種動物取扱業者を監督しているのは、都道府県・指定都市・中核市の動物愛護管理担当部署です。環境省も自然環境局総務課動物愛護管理室に相談窓口を設置しています。登録状況の確認方法は動物取扱業登録の解説を参照してください。
出典と確認日
本記事の法令に関する記述は、以下の環境省の公開資料に基づきます。確認日: 2026年9月2日。
- 環境省「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針〜守るべき基準のポイント〜」(令和3年5月)
- 掲載ページ: https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0305a.html
- 「1. 飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに当該設備の管理に関する事項」: https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0305a/03_1.pdf
- 「2. 動物の飼養又は保管に従事する従業者の員数に関する事項」: https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0305a/03_2.pdf
- 「経過措置について」: https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0305a/05_1.pdf
- 環境省自然環境局長通知 環自総発第2105251号(令和3年5月25日)「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針〜守るべき基準のポイント〜」の策定について: https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/files/n_64.pdf
- 環境省「動物愛護管理法」関連法令ページ: https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/index.html
根拠法令は「動物の愛護及び管理に関する法律」(昭和48年法律第105号)第21条第1項、および「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」(令和3年環境省令第7号、令和3年6月1日施行)です。
本記事で確認できなかった事項: 省令本体の条文番号(条・項・号)は、e-Gov法令検索の本文を本記事作成時に取得できなかったため記載していません。上記の数値・引用は、いずれも環境省が公表した運用指針および通知から取ったものです。また、各自治体が「一時的な保管」をどのように運用しているかの実態、および犬猫以外の動物に関する寸法の数値基準の有無は、本記事では確認できていません。
まとめ
- 犬猫のケージの大きさには、体長・体高の倍率による数値基準がある(犬: タテ体長×2、ヨコ体長×1.5、高さ体高×2/猫: 高さ体高×3かつ2段以上)
- ただし環境省の指針は、ペットホテルでの数日間の預かりを「一時的なもの」として例外になり得ると書いている
- 逆に、数週間〜数ヶ月の預かりは一時的な保管とはみなされない
- ケージから出る時間には、短期預かりの場合、法令上の下限がない
- 床材の金網禁止には経過措置がなく、見学でいちばん判定しやすい
- 当サイト掲載1,507施設のうち、個室の記載は19.9%、ケージフリーは6.2%。設備は公開情報からは判別しづらい
- だから「広い施設を選ぶ」ではなく、自分の犬猫を測ってから、実寸を聞くという順番になる
体長と体高は、一度測ってメモしておくと、ペットホテル以外でもキャリーの選定や飛行機の預け入れ、災害時のクレート準備にそのまま使えます。ついでに体重と、かかりつけ医、ワクチンの接種日も同じ場所に記録しておくと後で楽になります。
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